25年度のドライバーインストラクター養成研修会を開催

 物流技術研究会では、さる5月19日(日)、京田辺市のタカラ物流システム(株)本社において、ドライバーインストラクター研修を開催しました。

 

 今回の研修は、久しぶりに受講者27名という多人数での開催であったほか、会員各企業より管理者、指導者などの見学も多く、受講者とスタッフ・見学者を合わせると50名近くにのぼり、たいへん盛り上がる研修となりました。

 

「自らの命を守る」ドライバーになってほしい

 物流技術研究会のドライバー・インストラクター研修は実技中心の研修ですが、まず最初に会議室で、物流技術研究会の宮本秀俊会長(アサヒロジ㈱安全企画推進室長)が開会の挨拶に立ち、研修の主たる目的について話しました。

宮本会長 この春から、当会の会長を務めることになりました宮本です。よろしくお願い申し上げます。仕事の面では大阪から東京に移り、協力会社を含めて事故やトラブルを防止する企画を推進する立場にいます。

 最近見聞きしたトラック事故、フォークリフトのルール違反、自転車利用者の危険な行動による事故などの事例をみていますと、いかに多くの人が「人間の命はひとつしかない」ことを忘れているかということを痛感します。

 

 事務所にいる管理者の方にはわからないかもしれませんが、実際の事故現場に立った経験のあるドライバーならその実態を知っているはずです。

 現場では汗が飛び、血が流れているのです。救急車のサイレンが鳴り響き、大変なことになっています。事務所から電話一本で聞いただけで理解できる世界ではありません。

 その本当の怖さを知っている人は、あなた方だけです。

 そうしたドライバーが自分を守る具体的方法を、今日はいろいろな形で紹介しますので、ぜひ吸収して帰ってください。我々はプロですから、「命」を大切にしなければいけない。この研修は、自分の命を自身で守り、第三者の命も守るドライバーを育てていくためのものです。命を守るスキルと高い意識を身につけていただきたいと思います。

一人でできる日常点検の方法を身に付ける

 ホイールに亀裂が入っている
 ホイールに亀裂が入っている

 続いて、受講生は2班にわかれ「点検模範実技」と「危険回避・車両感覚」を体験しました。

 

 点検実技では、まず、丸山利明講師(タカラ物流システム(株))が、トラックのタイヤを外してブレーキとベアリングの構造や仕組みを説明しました。

丸山講師 普段はタイヤを外したことなどないでしょうが、「自分の命がこのベアリングに乗っている」ということを意識してほしいので、見てもらいました。

 タイヤの分解・整備は専門家が行うので、ドライバーがどうこうできるものではありませんが、どうして火災の危険があるのかということは知っておく必要があります。グリースが溶けてベアリングが焼き付き、火災が発生したら消火器でも消すのは難しくなります。ですから、タイヤが異常に熱いと感じたときなどは、ぜひ整備工場に連絡してください。

 

 また、丸山氏は日常点検整備で発見した、亀裂の入ったタイヤホイールなども展示し、「ボルトの間違った組付けやナットの緩みなどから、ホイールに大きな力がかかりヒビが入ることがあります。気がつかないまま高速走行をしていると、落輪事故につながる危険があります」と警鐘を鳴らしました。 

 その後、数人のグループに分かれて、澤井和樹講師(ティービー㈱)、田中保講師(エービーカーゴ西日本㈱)、森井満夫講師(同左)の指導のもと、一人ひとりが実際に点検を実施するなかで、一人で簡単に点検するポイントを習得しました。

 


わずか10キロでも減速すると危険回避ができる

 点検と別の班は「危険回避研修・シートベルトと車両感覚(リアオーバーハング・狭路バック)」研修を行い、その後互いに交代しすべての研修を受けました。

 

 危険回避研修では、青柳修治講師(JR西日本マルニックス㈱)の指導のもと、時速30キロと時速40キロの二通りのスピードで走行し、擬似信号機による合図で危険回避行動を体験しました。

 この研修では、人間の脳内で発生する知覚反応時間を要するため、瞬間反応は物理的に無理であること、スピードを落とすことで判断・操作の余裕が生まれることを学びました。

 

青柳講師 わずか時速10キロでも大きな違いがあるということをわかっていただきましたか? 夕方雨が降ってきてちょっと見えにくいなと感じたときなど、「最高速度は50キロだけど40キロに落とそうかな」……とそういう判断ができるのがプロのドライバーです。ちょっとしたことですが、確実に事故から遠ざかる知恵です。

 

 このあと、シートベルト非着用による危険についても乗用車の後部座席に座って体験しました。

リアオーバーハングの正しい幅を実測する

 車両感覚の実技では、トラックのリアオーバーハング(車体後部のはみ出し)の大きさを実感する実技研修を行いました。

 

 まず、受講者の中から自分が考えるリアオーバーハングがどういった軌跡を描くか示してもらった後に、大型トラックのハンドルを左一杯に切って前進移動したときの右端後部の軌跡を測りました。

 

 ほとんど人は、数メートルも大きくはみ出すと予測していましたが、いちばん大きくはみ出した所で1m10㎝程度と、予測したほどはみ出していませんでした。

さらに、ハンドル操作を1回転にすると、はみ出し幅は40㎝ほどになりました。

 このことから、丸山講師が「車体と壁などの間隔が1.5m程度あれば、思い切りハンドルを切っても大丈夫です。逆に狭いところから出て行くならハンドル操作を少なくするということを意識してください」と強調しました。

 一方で「リアオーバーハングを大きめに感じて警戒していた皆さんの感覚そのものは大切です!プロはこうした勘と度胸で運転していますが、勘と度胸と思い込みではなく、勘に理論を付け加えて運転すれば、事故はなくなります」と結びました。

 この後、狭路バックの方法についても、具体的に研修しました。


安全管理の心得──トラブルへの実務的対処を研修

 実技研修が終わった後、ドライバーも知っておきたい安全管理の講習が行われました。

「高速道路で車両火災が発生した場合に、どこ

 に停車するか」

「3.4mのガードの前で立ち往生してしまった

 ら、どうしますか?」

「燃料漏れやオイル漏れは3か月点検さえして

 いれば防げるか?」

「踏切で遮断機が降りてきたらどうするか」

 

──など、 実際に発生した事故やトラブル事例などを挙げながら、プロドライバーとしての対処方法を解説しました。

 本日の講習も受講者には大変好評で、アンケート結果をみると、ほとんどの人が「たいへん役に立つ」と答えていました。

 また、具体的な意見や要望としては次のようなものがありました。

 

●実際にはなかなか実験できない事で、このように、

 身体で経験すると言う事は大いに必要と感じました。

●研修にまた参加したいと思います。

 踏切の研修もしたいです。

●実技が多く、身を持って体感でき、大変役に立った。

●できれば事務員達にも参加して貰いたいです。

●大変役に立つと思います。ただ管理職の方も見に来て欲しいと思います。

●今回参加して色々勉強になりました。会社の社員に今日学んだ事を教えたいと思います。

 本日の講習も受講者には大変好評で、アンケート結果をみると、ほとんどの人が「たいへん役に立つ」と答えていました。

 また、具体的な意見や要望としては次のようなものがありました。

 

●実際にはなかなか実験できない事で、このように、

 身体で経験すると言う事は大いに必要と感じました。

●研修にまた参加したいと思います。

 踏切の研修もしたいです。

●実技が多く、身を持って体感でき、大変役に立った。

●できれば事務員達にも参加して貰いたいです。

●大変役に立つと思います。ただ管理職の方も見に来て欲しいと思います。

●今回参加して色々勉強になりました。会社の社員に今日学んだ事を教えたいと思います。

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【ドライバーインストラクター養成研修データ】

<日時>

  2013年5月19日(日)

<場所>

  タカラ物流システム(株)本社

<参加者>

  受講者 27名

  スタッフ・見学者 20名

<講師・インストラクター(敬称略)>

  宮本秀俊(アサヒロジ)

  丸山利明(タカラ物流システム)
  青柳修治(JR西日本マルニックス)
  森井満夫(エービーカーゴ西日本)
  田中 保(エービーカーゴ西日本)
  澤井和樹(ティービー)
  野村康志(ティービー)

【平成25年5月30日更新 取材・編集 シンク出版㈱

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