物流技術研究会では、平成26年5月11日(日)と5月25日(日)の2回にわたり「フォークリフト・インストラクター研修会」を開催しました。
経験あるフォークリフトオペレーターに対して、再度原点に戻ってリフトの特性等を指導し、安全作業を職場内に浸透させるリーダーを養成する目的で開催されているものです。
11日の西日本地区はサントリーロジスティクス(株) 南大阪支店における研修で、会員事業所とそのパートナー会社などを含めて7社21名が参加しました。
25日の東日本地区は大塚倉庫(株) 浦安センターにおける研修で12社31名が参加しました。見学者を含めて過去最高の参加者です。
開講のあいさつ、受講者の自己紹介が行われた後、まず丸山利明講師(タカラ物流システム㈱)が「フォークリフトの事故事例研究、点検操作方法・構造規格」と題して、業務に生かせるフォークリフトの特性や構造、事故事例の知識など幅広い視点から講習しました。
フォークリフト点検の基本は、特に水漏れ・油漏れの異常を発見することであり、それが『安全』にも修理等の『コストダウン』にも繋がることを強調しました。
事故事例の資料としては、物流技術研究会で監修して作成した少冊子「フォークリフトオペレータのための安全運転読本」などを活用しました。
フォークリフトの基本作業としては、荷物を積載する場合にトラック荷台に対して常に真っ直ぐ正対して接近し積み込むべきであり、斜めに接近して直前で平行にして積み込む方法の危険性を強調しました。
隣りの荷物に接触する破損事故の多くは斜め積みが原因ですが、斜めの作業に慣れたオペレータの多くは、危険性に気づいていないのではないかと問いかけ、実技のなかで再確認するよう促しました。
このあと実技に入り、まず「日常点検研修」では、日常点検のポイントを説明した後、実習しました。とくに高圧ホースの油漏れ確認、バックレストのガタや損傷、マストやティルトの動き、ハンドル操作、ブレーキの効き等などが強調されたので、皆、真剣に取り組みました。
フォークリフトのマストや後方のガスボンベ等がいかに大きな死角を作るかも研修しました。ロープで区切ったスペースに実際に人が立って、死角の大きを実感しました。
続けて、「インチングペダルの確認」では、インチングペダルとブレーキペダルの違いについて学びました。インチングペダルはトルクコンバータの油圧をカットして止まる機能であることを再確認し、「初めて乗るリフトは調整が難しいので、安易に使用しないでブレーキペダルだけを使って作業をするべき」ことを講師が強調しました。
また、クリープ現象を利用した走行についても研修し、 オートマ車はアクセルを踏まなくてもクリープ現象で進むので、その特性を使うことを学びました。
スラローム走行」実技は、 パレットで囲まれた場所を、パレットを倒さないように慎重に走行します。 通路の角に爪の先がきたら素早くハンドルを回しますが、 ハンドルを回しすぎないことが強調され、1回転から1回転半の位置で固定した走行をすることで、荷の振動も少ないことを学びました。
また、フォークリフトの「オーバーハング」研修では、旋回時にハンドルを1回転半切った場合と目一杯切った場合に、どのような軌跡を描くか実際に計測して体験しました。フルハンドル(2回転半)では1m、1回転半のハンドリングでは50cmのオーバーハングです。
1回転半以内の運転操作をマスターすることが、プロの運転技能であると教えられ、「普段、大げさなハンドル操作をしていたけれど、いかに危険で無駄な操作をしていたかを実感できました」といった声が多く聞かれました。
次に、ハンドル1回転を応用した荷積み作業の基本について学びました。
安全な荷積みの基本は、講義でも教えられたように荷物に対してフォークリフトを正体させて積み込むことです。そのためには、どのポイントでハンドル操作(約1回転)をしたらよいかを、自分の感覚をつかむまで繰り返し練習しました。
斜めに接近し、フルハンドル操作で荷積みをするクセは、危険運転に繋がる一方で、1回転はリフトの延命、修理費のコストダウン、運転者の疲労軽減にも繋がります。
本来のリフト構造に沿った運転技能をマスターすることが、日常的な破損事故防止、労働災害防止に繋がつということを学びました。
最後に、宮本会長から「職場でフォークリフトによる事故や災害を起こさないために皆さんの力が必要です」と、安全に対する熱い言葉をかけました。
「受講者の皆さんは、今回学んだことを参考に、各会社・各現場のリフト作業のスキルアップをしていただき、安全で安心の職場作りをお願い致します」と結びました。
今回の養成研修も好評を博しました。多くの受講者からアンケートに「役に立った」と答えていただきました。
【西日本・フォークリフト・インストラクター研修データ】
〈日時〉
平成26年(2014年)5月11日(日)
〈場所〉
サントリーロジスティクス(株) 南大坂支店
〈受講者〉
7社、21名
〈参加企業〉 サントリーロジスティクス(株) / アサヒロジ(株) / 大塚倉庫(株) /
(株)農協物流わかやま / ケーエルサービス西日本(株) /(有)コンプリートリ
リーフ/(株)中央倉庫/
【東日本・フォークリフト・インストラクター研修データ】
〈日時〉
平成26年(2014年)5月25日(日)
〈場所〉
大塚倉庫(株) 浦安センター
〈受講者〉
14社、25名
〈参加企業〉 サントリーロジスティクス(株) / 大塚倉庫(株) / アサヒロジ(株) /
ハイエスサービス(株) / 日本レイバー(株) / サッポロ流通システム(株) / サッポロ
グループ物流(株) / (株)エムズコーポレーション /(株)アズシステム / (株)オカダ
トランス / (株)バンテックイースト / (株)バンテックセントラル
【平成26年6月20日更新 取材・編集 シンク出版㈱】