ドライバー・インストラクター養成研修を開催 (27年11月)

 物流技術研究会では、さる11月8日(日)および15日(日)、東日本・西日本地区でそれぞれ第24-25回のドライバー・インストラクター養成研修を開催しました。

 

 東日本地区は(株)日立物流の松戸研修所を会場に、西日本地区はアサヒロジ(株)箕面営業所を会場にして、合計で37名のドライバーが参加しました。

 

 松戸研修所には広い走行コースがありますので、点検実技や危険回避体験に加えて、トラックを使用した走行研修が行われ、幅広い走行時の安全研修を実施することができました。

 

 また、西日本地区では、ブリジストンタイヤジャパン(株)の協力により、「タイヤの正しい使用と管理について」実際の大型タイヤを使用し、実技を含めた講習が行われました。


■研修のカリキュラム(西日本)

時 間  研修内容
 09:00~ 09:15  開講・オリエンテーション
 09:15~ 09:25  本日の研修説明(宮本講師)
 09:25~ 10:25

 安全運転ハンドブックによる座学

 プロとして知っておきたい知識を中心に 

 10:25~ 10:10  休憩・移動

 10:40~ 11:00(5班わけ)

 模範点検と質疑応答

 11:50~ 12:00(各班)  各判別に日常点検
・外周走行時のはみ出し禁止走行
・車線変更時の確認
 12:00~ 13:00  昼食休憩
 13:00~ 14:10  タイヤの知識
・タイヤの正しい使用と管理
・脱落事故防止について(ボルト・ナット締め実演)

 14:10~ 15:20(1~3班)

 大型車の車両感覚・リアオーバーハング

 狭路バック 

 1410~ 1520(4~5班)

 急ブレーキ走行研修
・危険回避(信号機使用)/シートベルト着用効果
 15:20~ 15:35   休憩・移動
 15:35~ 16:45

 1~3班と4・5班が交替

 16:45~ 17:15

・本日の復習(青柳講師)

・居眠運転を防ぐために企業風土を改革しよう/(丸山

  講師)

 17:15~ 17:30 ・アンケート ・修了証授与  → 閉講

 

 開会のオリエンテーションの後、宮本講師が、物流技術研究会の監修した「真のプロドライバーを育てる安全運転ハンドブック」をテキストにして講習を行いました。

 

 ハンドブックは208頁もある単行本ですが、そのなかから「プロとして知っておきたい知識」というコラムを中心に、いくつか重要な情報を指摘して解説しました。

 

・自分は悪く無いと思っても責任を負うの

 が事故──青信号で高齢者が飛出してき

 ても車側に最低3割の責任が発生する。

・挨拶のできない人間はプロドライバーに

 なる資格なし──挨拶という漢字には「開いて迫る」という意味があります。自分をきち

 んとアピールすることができない人に、荷物を任せる人はいない。

・ドライバーが嘘をついて大損害が発生することがある

・ウイングオイル漏れのチェックの重要性

・踏切脱出時の判断/前の車を押し出す覚悟が必要

 

 など、リーダードライバーとして運行管理者も知らないような知識を、ぜひ「現場の仲間のために身につけてほしい」と訴えました。

■1人でできる日常点検整備のポイント

 座学終了後に階下のコースに出て、午前中は5つの班に分かれ、日常点検整備の実技研修を受けました。

 

 この体験実技は、次の2つが重要なポイントです。

 

 ・1人でもできるポイントを絞った点検

  の実技を身体で身に付ける

 ・職場に戻って、同僚・部下に指導する

  ことができる自信をつける


 左の図は、物流技術研究会式の1人で行なう点検ポイントの図です。

 

 

  各車輪の点検時には、検車ハンマーでタイヤを強く叩いて、反撥音からタイヤの空気圧をみるとともに、ホイールナットの締め付けを指を添えてハンマーを叩き、緩みなどを点検します。


■タイヤの正しい使用と管理

 昼食後には、タイヤメーカーのブリジストンタイヤジャパン(株)から専門家を招いて、「タイヤの正しい使用と管理/脱落事故防止について」と題した研修が行われました。

 

 この研修では、まず映像でタイヤの消耗部品の破損による脱輪事故の危険や、タイヤへの空気充填時のタイヤバースト事故の危険を解説しました。


 受講者が見つめる中、ダミー人形とはいえタイヤ破裂で吹き飛ばされるショッキングなバースト映像を見て、皆さん、タイヤ整備にも危険があることを身にしみたようです。

  

 また、とくに冬前の時期はスタッドレスタイヤへのタイヤ交換時にボルトの増し締めを忘れて、締めつけ不良から脱輪事故が発生しやすいことなどを指摘しました。


 この後、コースに出て大型タイヤ交換の実技、トルクレンチによる増し締めの方法などをを見学しました。


■危険回避と車両感覚の研修

 タイヤ研修後は、「危険回避・シートベルト」と、「車両感覚(リアオーバーハング・狭路バック)」研修を体験しました。

 

 危険回避研修では、時速30キロと時速40キロの二通りの速度で走行し、擬似信号機による合図で危険回避行動を体験しました。

 この研修では、人間の脳内で発生する知覚反応時間を要するため、瞬間反応は物理的に無理であること、スピードを落とすことで判断・操作の余裕が生まれることを学びました。

 

 受講者は、皆、わずか時速10キロでも、操作の余裕が生まれることで、危険回避に大きな違いがあるということが実感できたようです。

 

 このあと、シートベルト非着用の体験を行いました。低速でも急ブレーキをかけると大きなGがかかるため、シートベルト非着用の場合は身体が大きく前のめりになります。順番に車の後部座席に座って、ベルト非着用の危険を実感しました。


■居眠運転を防ぐには、勇気を持って寝るしかない

 研修の最後に、丸山利明講師が「居眠運転をいかにしてなくすか」ということについて話をしました。

 

丸山 走行中に眠くなっても「あそこまで行こう」と3回めまでは我慢するのがプロドライバー。それだけ追い込まれているのです。

 しかし、そんな我慢をして、もし居眠り運転事故を起こせば、犠牲になるのはドライバー本人です。

 

 プロドライバーならば、自分の家庭と自分の生命を守るため、居眠りしそうになったら、1回めで寝る勇気を持ちましょう。

 もうひとつは会社の体質を変えること。会社が変わらないとドライバーは休憩できません。私の会社は「ドライバーが眠いと言って寝て延着したら、すべての責任は会社がとる」と宣言して勇気を持って寝るように働きかけてきました。

 それから、安全に対する風土が変わって、ドライバーが自主的に寝るようになったのです。このことが大切です。

 

 踏切事故などの防止でも同じことです。踏切に誤って侵入してしまったとき、なかなか非常ボタンが押せない。しかし、どんなに怖くても押しなさいと言っています。それで鉄道会社に怒られても、すべての責任は管理者である私がとると言っています。

 会社がはっきりした姿勢を示して、ドライバーは勇気を持つことが大切だと思います。

■危険体験のまとめと講評

 危険体験のまとめとして青柳修治講師から一言指導がありました。

青柳 人間の脳には「はっ」と危険に気づくまでに『知覚時間』がかかるということを体験していただきました。

 自動車学校で習ったことですが、自分の身体で実体験してみるということが重要だと思います。この時間はだれでも必要であるということを再認識していただけたでしょうか。

 速度を落として余裕をとること重要性に気づいて、日々の安全運転に活かしていただけたらと思います。

 

 最後に、宮本秀俊講師から結びの言葉がありました。

宮本 踏切事故防止の対処策について、私と丸山講師のお話のなかでアサヒロジとタカラ物流システムそれぞれ各会社で安全指導の方法に若干の違いがありましたが、要はトップの方針、会社の方針を徹底するということだと思います。

 

 ここにおられる皆さんもドライバーの代表として、どんな危機管理の指導方針なのかということを会社で確認しておくことが大切だと思います。

 

 職場には、自分に都合のよい情報しか流さない上司や、自分に都合のよい決まり事だけ強制する管理職などが多いものですけれども、皆さんは「安全」の原点に立って本音でドライバーとコミュニケーションをとってください。

 今日習われたことも自分なりにアレンジして、自分の職場にあう形で情報提供していただきたたいと思います。


■研修のアンケート結果

 研修終了後に回収したアンケート結果では多くの受講者が「役に立った」という感想を残してくれました。

 

 項目別にみますと、「安全運転ハンドブック」については「たいへん役に立つ」が63%「まあ役に立つ」を入れると100%となっています。

 

 「タイヤ交換実技(BS)」については「たいへん役に立つ」が63%「まあ役に立つ」21%となっています。

 

 「日常点検実技・試験」については「たいへん役に立つ」が78%「まあ役に立つ」17%を含めると94%となっています。

「オーバーハング・狭路バック」については「たいへん役に立つ」が688%「まあ役に立つ」を含めると100%となっています。

 

 「危険回避」では84%の受講者が「たいへん役に立つ」と回答し、役に立つ全体で100%となっています。

 

 「全体の評価」では「良い」が73.7%に達しています(詳しくは下図を参照)。

 

 具体的な感想としては、以下の様なコメントが寄せられました。

 

・貴重な経験をさせてもらいました。全国の事業主、ドライバーが受講できるとよいと

 思います

・いつも感覚で運転していましたが、オーバーハングや日常点検のことをみんなに教えて

 いきます

・実際に体験してわかりやすく身につきやすいと思います

・スペアタイヤの交換や、急制動、普段経験のないことができてとても勉強になりました

・今回2回目ですが、免許の更新のように受講したらよいと思います

・10トン狭路バックで見ている時間が長かったので2チームに分けてやってほしかった 

・当社に来ていただいての研修は可能でしょうか(アート引っ越しセンター)

 

 

【第24回・25回 ドライバーインストラクター養成研修データ 物流技術研究会

 

<日時>

  平成27年(2015年)11月8日(日)、15日(日)

 

<場所>

  (株)日立物流  松戸研修所

  アサヒロジ(株) 箕面営業所

 

<参加者>

  受講者 東日本地区18名 西日本地区19名  見学者 6名

  会社名(順不同)

  ──アサヒロジ株)/ティービー(株)/(株)バンテックイースト/常磐海運㈱/

    ケーエルサービス東日本(株)/協進運輸㈱/鈴昌輸送倉庫㈱/梅田運輸倉庫㈱/

    (株)バンテックセントラル/(株)バンテック九州(株)/エービーカーゴ西日本(株)/

            (株)山上運輸/サントリーロジスティクス(株)/ケーエルサービス西日本(株)/

           アートコーポレーション(株)/京都産業貨物(株)/(株)五健堂/海邦物流(株)/

           両備トランスポート

 

<講師・インストラクター(敬称略・順不同)>

  宮本 秀俊(アサヒロジ)

  丸山 利明(タカラ物流システム)

  青柳 修治(専任講師)

  町田 慶太(サントリーロジスティクス)

  鵜川  誠  (サントリーロジスティクス)

  白石 雄治朗(アサヒロジ)

  須郷  浩(ティービー)

  太田 清史(ティービー)

  栂野 茂保(ティービー)

  野村 康志(ティービー)
  澤井 和樹(ティービー)

  小野塚 英雄(バンテック)
  岡部 彰浩(バンテック)

  鈴木 一哉(バンテック)
  小川 清志(バンテック)

  四手井 康時(バンテック)

  森井 満夫(エービーカーゴ西日本)

  田中 保之(エービーカーゴ西日本)

  吉村 隆司(エービーカーゴ西日本)

  宮内 辰也(エービーカーゴ西日本)

  三島 恭一(エービーカーゴ西日本)

  石井 潤 ケーエルサービス東日本

  平沼 邦男 キリングループロジスティクス

  玉島 政和(撮影専任スタッフ)

           

■東日本地区大会

■西日本地区大会

 

【平成27年12月14日更新 取材・編集 シンク出版㈱

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